不動産の財産分与

sl-1870001
 離婚の時に財産を清算することを財産分与(清算的財産分与)といいます。結婚期間中に夫婦の所得で取得した不動産があれば財産分与を検討しなければなりません。

 財産分与の時に注意しなければないのは、①なにを、②どれだけ、③どのように分けるか、ということです。不動産の価値と住宅ローンの関係によって処理が違いますから、具体例で考えてみましょう。

(1)不動産の価値が住宅ローンより高い場合

①なにを分けるか
 例えば、夫名義の不動産が、別居の時に2000万円の価値があり、夫名義の住宅ローンが1000万円残っていたとします。この場合、もし不動産を売ってローン分を支払っても1000万円残りますから、この不動産には1000万円の価値があります。そうすると、分与対象は1000万円分の不動産価値であり、この不動産価値を分けるということになります。

②どれだけ分けるか
 この不動産を購入できたのは、妻が家事や育児などの役割分担をこなしてきたからであると考えられます。不動産の取得について、夫と妻は対等です。そこで、通常、妻はこの不動産に対して半分の権利を持っていると考えて半分ずつにします。ですから、夫は妻に500万円分の価値を分けなければなりません。

③どのように分けるか
 まず考えられるのは、夫が不動産を売ってしまって500万円を代金から現金で支払う方法です。このやり方は、分かり易いやり方です。
 もっとも、夫婦の一方が離婚後に不動産に住みたいと考えた場合、この方法では住みたいという希望は叶えられません。

 そこで、まず、夫が不動産を取得しようと考えた場合、夫がどこかから調達してきた500万円を妻に支払って清算し、不動産を自分のものにするという方法が考えられます。この場合、不動産も、ローンも名義を変更しなくて済みますから、比較的簡単です。

 他方、仮に妻が不動産に住み続けたいと考えた場合、逆に、妻が夫に500万円を支払って清算した上、住宅ローンも負担しなければ平等な結果にはなりません。そうすると、住宅ローンの名義を妻に変更する必要がありますが、住宅ローンの名義変更は、銀行がなかなかうんとは言ってくれません。

 ですから、どうしても妻が不動産に住み続けたい場合、不動産を夫に取得させた上で、妻は夫から借りるという方法をとる場合が多くなります。

(2)不動産の価値が住宅ローンより低い場合

①なにを分けるか
 例えば、夫名義の不動産が、別居時点で2000万円の価値があり、夫名義の住宅ローンが3000万円残っていたとします。このように、不動産の価値よりもローンの方が多い状態を「オーバーローン」と呼んでいます。この場合、住宅ローン残高の方が不動産よりも多いのですから、住宅自体の価値はマイナスになって、1000万円の負債を分け合うと考える方が多いのではないでしょうか?

 しかし、この場合、裁判所は、住宅の価値を0と考えて、不動産は財産分与の対象にならないと考えています。1000万円の負債は夫名義の負債なので、夫が支払わなければなりません。妻が500万円分の負債を負う財産分与をするのではないと考えられていますので、注意が必要です。

②どれだけ分けるか、③どのように分けるかは、オーバーローンの場合そもそも分ける不動産がありませんから、考える必要はありません。

以上が、不動産財産分与の基本的な考え方です。

不動産の財産分与と税金

(1)財産分与する側への課税

 財産分与により不動産を譲渡する場合には、譲渡所得税が課税されます。

(2)財産分与を受ける側への課税

 逆に、財産分与で不動産を取得した場合には、不動産取得税が課税されます。また、登記名義の変更をするための登録免許税も掛かってきます。

 なお、原則として贈与税は課税されませんが、財産分与として取得する額が、夫婦共有の財産に対する寄与度、その他一切の事情と考慮をして、過当であると認められる場合には、贈与とみなされ、贈与税が課せられることもあります。

不動産の財産分与に関する事例

不動産、退職金、慰謝料等、優位な条件で離婚を成立させた事例


法律相談のご予約はお電話で 初回相談無料 082-555-9322 斎藤法律事務所

最新情報・解決事例

  • 離婚に関するよくある質問集
  • 当事務所の解決事例集