離婚後に財産分与の条件を変更することは可能でしょうか?

離婚後であっても、財産分与の条件を変更することは可能です。離婚をする際に、財産分与の条件まで決めておかなくてはならないわけではありません。離婚後であっても条件を決めることはできるので、焦って不利な条件で同意しないことが重要です。

ただし、財産分与を請求できる期間には制限があり、離婚後二年以内に請求をしなければなりません。ですので、本件では離婚から1年半が経過しているということで、早めに請求するのが良いでしょう。

通常、請求できる期限については、時効の中断・停止というものがありますが、財産分与の二年は消滅時効期間ではなく除斥期間として捉えられるため、中断・停止をすることができませんので、特に注意が必要です。

財産分与の対象となる財産に退職金は含まれるのでしょうか?

退職をする前であっても、実務上は退職時期が近い場合には、分与対象として扱います。

財産分与における将来の退職金について、かつてはその蓋然性の高低によって争われるケースも多かったのですが、最近の運用実務では、退職の時期がかなり先の場合でも、財産分与の対象としています。対象となる時期については個別事情により異なるので、注意が必要です。

退職金については、対象が公務員であったり、大企業に勤めていたりする場合に、特に認められやすい傾向にあります。これも、財産分与取得の蓋然性が高いという判断からです。

自分で稼いだお金をもとに買った車も財産分与の対象になりますか?

残念ながら、ご自身が買われた場合でも、財産分与の対象となります。夫婦が共同生活をしている間に取得した財産については、財布の出どころに関わらず、夫婦の共有財産として考えられます。

本ケースのように、夫婦一方が多額の出資をして購入した資産についての財産分与に関するご相談をお受けすることも多くありますが、二分の一ルールの運用効力が強く、分与の対象外とすることは難しいです。

ただし、その外車が結婚する前に購入していたものであったり、ローンが多すぎてそもそも分与ができなかったりという場合については、財産分与の対象とはなりません。

マイナスの財産も財産分与の対象となりますか?

マイナスの財産でも、財産分与の対象となる場合があります。
ただし、マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合は、分与の対象にはなりません。

財産分与をする際には、まず初めに夫と妻それぞれが婚姻期間中に取得した財産の総額を出し合います。ただし、親からの相続財産などは除きます。そこで出てくるプラスの財産とマイナスの財産とを足し引きして、残った分を財産分与の対象とします。

当然、残った財産がプラスであれば、それを分け合うことになります。

その割合については、二分の一ずつ分け合うのが一般的です。(分与の対象となる(ならない)財産、分与の割合については、「財産分与について」のページをご参照ください。)

一方で、それぞれの財産を足し引きして、マイナスの財産しか残らない場合には、残った分について財産分与の対象とはなりません。

よくあるケースとして、所有している不動産がオーバーローンの場合などは、分与の対象とはならず、夫婦のいずれかがローンを引き継ぐことになります。不動産のオーバーローンについては、保証人や連帯債務者がいる場合に、財産分与の仕方が変わります。

これらについては事案により運用が異なるので、是非ご相談ください。

財産分与の割合は一律で決められているのですか?

財産分与の割合については、二分の一にするというのが原則的で、例外が認められるケースは多くありません。財産分与の基本的な考え方として、婚姻期間中に作った財産は、夫婦共有財産として、両方が同じ割合で貢献していると考えられています。二分の一ルール自体は法律で定められているものではなく、実務運用上の原則でしかありませんが、強い効力を持っているのが実情です。

ただし、財産への貢献が明らかに違う場合には、財産分与の割合が二分の一にはならないこともあります。本件のような会社の経営者の方や芸能人の場合には、「一方の特別な能力で財産に貢献した」として、財産形成に対する寄与の割合の違いを認められる場合もあります。

個別事情により異なりますので、一度専門家である弁護士にご相談されることをおすすめします。

住宅ローンが残っている場合、住み続ける側が払うのでしょうか?

必ずしもそうとは言えず、ケースバイケースということになります。
離婚時に夫がローンを支払い、妻と子どもが住むという取り決めをすることも時々行われています。

とはいえ、離婚の際に住宅を財産分与によって取得する場合、住宅ローンは財産分与によって住宅を取得した方が引き受けることが多いのが実情です。

夫の定年を機に離婚する場合、退職金は分与してもらえるの?

可能です。

退職金は、すでに、預貯金や不動産等さまざまな形の資産に変化していると考えられるので、預貯金や不動産の分与を請求することになります。

なお、妻が退職金に貢献したのは結婚期間中のみですので、分与の対象になるのは結婚期間中の分の退職金になります。

離婚の時、夫や妻が作った借金を負担しなければならないの?

夫婦別産制

まず、離婚が問題になっていない状態で、夫婦の財産関係がどのようになっているのかを見てみましょう。
夫婦の一方が結婚前から持っている財産や、結婚中に自分の名前で取得した財産はその人の財産として、夫婦の一方に属します。これを夫婦別産制と言います。夫婦の財産は、原則として、その名義人のものと言うわけです。夫婦の一方が作った借金も、日常生活のために使った借金(日常家事債務といいます。)を除いて、夫婦の他方は負わないと考えられています。

これが、離婚が問題なっていない状態での夫婦の財産関係です。

財産分与

では、離婚が問題になっている場合はどのように考えるのでしょうか。
結婚の形はさまざまですが、結婚期間中、多くの場合、夫が主として労働し、妻が家事をしたりパートに出たりすることが多いと思います。妻のこのような家事労働によって、夫は財産を得ることが可能になります。

すると、結婚期間中に得た財産は、一方の(夫の)名義であっても、実質的には夫婦で得た財産と考えて清算するのが公平です。このような考えから、離婚時に夫婦の財産を清算するのが財産分与の制度です。

つまり、財産分与は、負債よりも資産の方が多い場合に、公平に財産を分ける制度ということになります。

負債より資産が多い場合

この場合は、資産から負債を引いた差額が財産分与の対象になります。 例えば、夫の資産が1,000万円、負債が600万円で、妻の資産が200万円、負債は100万円とします。この場合、{(1,000万円 - 600万円)-(200万円 - 100万円)}÷ 2 = 150万円が分与対象財産になります。
このように処理するのが公平であると考えられています。

資産より負債が多い場合

ところが、資産より負債が多い場合には、通常、その負債は財産分与の対象にはならないと考えられています(ここでは触れませんが、多少の例外があります)。離婚時の清算という観点からは、負債も二人で分けた方が良いようにも思えますが、そもそも財産分与は資産を分けるための制度ですので、負債のみの場合は財産分与の範囲外と考えられています。
また、負債を分けると、銀行などの債権者と夫婦との関係や、離婚後の夫婦間の清算の問題など、かえって問題が複雑化してしまうことが考えられます。

例えば、夫の資産が600万円、負債が1,000万円、妻には資産も負債もないような場合、200万円の負債を妻が引き受けることになりそうですが、この場合、夫名義の400万の負債はあくまで夫が負担することになります。

以上のように、夫婦の一方が作った借金は、夫婦の負債よりも夫婦の資産が多い場合には実質的に夫婦の負担となりますが、資産よりも負債が多い場合には夫婦の他方は負担しない、ということになります。

もちろん、夫婦の間でこれとは違う合意をすることは差し支えがありませんから、合意によって相手の債務を負担してあげることは可能です。

面会交流を確実に行う方法はありますか?

面会交流の条件を調整する場合には、当事者間で話し合いをするか、調停を申立て、裁判所での話し合いにするかの二つの選択肢が考えられます。当事者間の話し合いで解決できれば理想的ですが、本件のようにそれが叶わないケースも多いと思います。

そのような場合に弁護士が交渉に入ることで解決するということもあります。但し、弁護士が交渉をしても、それ自体に強制力・確実性はないので、確実性を求めるのであれば、調停を起こすしかありません。

むやみに調停を起こしてしまうと、相手方を必要以上に刺激することになってしまい、かえって話し合いが進まないということがありますので、柔軟性と確実性とのバランスを意識しなければなりません。

調停においても緩やかな条項を作ることが多く、細かい条件までは定めないのが一般的です。一方で、条件を定めなければ、強制執行をすることができないので、確実性を重視するのであれば、細かい条件まで取り決めなければなりません。

定めた面会交流の条件がまったく履行されない場合には、裁判所が細かく条件まで定めるケースもあります。「月に1回程度」と定める場合が一般的ですが、「毎月第○週目の×曜日、何時~何時まで、場所は△△」といった日にちまで決めることもあります。条件を詳細に定めることで、面会交流の間接強制を働かせることができるという、判例も出ています。

面会交流の回数については、月2回でも認められれば理想的ですが、運用上は月1回程度というのが基本になります。

夫に子供を会わせたくない場合はどうすればいい?

原則、面会交流を拒むことはできませんが、ケースによっては面会交流の変更や、禁止、制限すること等の対処は可能です。対応について、一度ご相談ください。

親権者や監護していない親(子どもと一緒に住んでいない親)が子どもと会うことを面会交流と言います。面会交流権は親が子どもに会える権利というだけでなく、子どもが親に会える権利でもあります。心理学的にも、親に会えることで子どもが健全に発達すると考えられています。ただし、元夫が子どもに対して虐待を行っていたなど、面会によって子どもの利益が害されるような場合には面会交流(直接交流)を禁止又は制限すべきです。

面会交流には直接交流だけでなく間接交流も含みます。間接交流は、直接会わせるのではなくビデオ通話や、手紙のやり取り、写真や動画を送る行為のことです。

諸事情で直接会わせるのが嫌な場合は、間接交流をにすることで面会交流を実施したと評価出来る場合があります。直接会わせるのは嫌だけど、送ってもらった手紙を渡す程度で対応することも一つの方法となります。

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