夫にお前は絶対親権を取れないと言われたけど私は親権を取れないのでしょうか?

親権者を指定する場合に、裁判所が参考にしているのは、

  • どちらが「主たる監護者」か
  • 悪意の遺棄
  • 監護環境が変化するか
  • 子が父母のどちらと住むことを希望しているか
  • 面会交流をさせる意思があるか
  • きょうだいを分けることになるか
  • 監護を始めたときの態様

だと言われています。

このうち、子供が幼い間は、①の「主たる監護者」が夫と妻のどちらかが重視され、子供が成長するに従って、③の「子供の意思」が重視されるようになります。

主たる監護者というのは、それまでどちらが主に子供の世話をしてきたかということです。一般に、妻が子供の世話をすることが多いので、妻が親権者となる場合が多いです。

また、子の意思については、子供が10歳程度になれば参考に出来ると考えられています。
ですので、子供の世話をしてきた実績があり、子供たちが妻より夫と暮らすことを希望していれば夫が親権者になることも考えられます。しかし、子供の世話をしてきたのが妻で、子供たちも妻と暮らすことを希望しているのであれば、通常は妻が親権者となります。

ただし、例えば夫が子供たちを連れ去って、妻が何もしないまま時間が経ち、子供たちがその状態で安全に生活しているような場合には、夫が親権者となることも考えられます。夫による子の連れ去りには十分注意する必要があります。夫が子を連れさって別居を開始した場合、すぐに警察に連絡し、できるだけ早く弁護士に相談した方が良いでしょう。

なお、夫の言い分として「妻には収入がないから育てられない」というものがありますが、親権を決めるときに、妻の収入はほとんど考慮されません。妻に収入が無い場合、収入がある夫が妻に養育費を払うということになります。

ほとんどの場合、夫の自信は根拠が無いことが多いと思いますが、自分の場合どうなるのか詳しく聞きたければ、弁護士に相談すると良いでしょう。

親権と監護権とはどう違うのでしょうか?

監護権とは、親権の中に含まれる身上監護権のみを取り出して、子どもの世話をする権利のことです。本件では、娘さんの面倒はご相談者様が見られるとのことですので、監護権もこちらにあります。

離婚届けには親権者について記入する欄があり、無記入での提出は認められません。すなわち、離婚届を提出する時点では離婚後の子どもの親権者を指定しておかなければなりません。親権者と監護者とを分けることは可能ですが、運用実務上は好まれません。

現在の日本の法律では、離婚後の子どもの親権はどちらか単独でなければならず、一部の国で認められているような共同親権制度は認められていません。それが原因で婚姻中から子の奪い合いに発展する問題がしばしば見られ、共同親権制度を導入すべきという動きも見られます。

子どもの親権と監護権をわけるにはどのような手続きが必要でしょうか?

まずは親権と監護権との違いを理解する必要があります。親権は、未成年の子どもに代わって財産を管理し、財産関係の契約を代理でする権利(財産管理権)を有します。親権では、財産管理権のほかに身上監護権も含まれます。身上監護権では、子どもを養育したり、叱ったりする権利(懲戒権)も認められます。

監護権のみを取るということは、上記の身上監護権のみを取得することになります。15歳未満の子どもがいる場合、子どもの養子縁組の承諾をできるのは親権者ですが、監護者の同意も必要であるとされています。一方が知らぬ間に養子縁組をする可能性を排除するために、親権者と監護者と分けることがあります。但し、実際には、親権者と監護権者を分けることはほとんど行われていません。

もし親権者と監護権者を分ける場合の手続きですが、当事者間の話合いで協議書を作ることも出来ますし、離婚調停の中で監護者と親権者を分けるという合意をすることも出来ます。

具体的に、どのようにすれば良いかについては弁護士に相談すると良いでしょう。

子供が親権者の妻ではなく夫側の親権を望んでいる場合、どうなるの?

一旦母親が親権者になっていますので、親権を変更するには親権変更の手続が必要です。親権者の変更は親同士の話合いでは出来ず、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる必要があります。

調停や審判では、親権者の変更が子の利益のため必要があるといえるかが検討されます。

その際、従来の親権者の監護状況に問題があるか、子どもが分別能力を備えていれば子どもの意思はどうか、という観点が基準になります。ですから、その範囲で子どもの意思は親権に影響すると言えます。

不貞した側でも親権は獲得できるの?

親権を決める基準には、母性優先の基準、継続性の基準、子の意思尊重の基準、きょうだい不分離の基準、面会交流の許容、奪取の違法性、などの基準があるといわれています。

ただ、当職の経験では、家庭裁判所は、以前から今まで子どもを中心的に養育してきたか否か、子どもの意思はどうか(子どもに判断能力がある場合)、という考え方で、親権者を決定していると感じています。

要するに、不貞を働いた側であるか否かは親権者の決定にはあまり影響しません。

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