不貞行為を行った後、別居を開始し、審判で子の監護者に指定された事例
依頼者:妻 30代 公務員相手方:夫 30代 会社員子ども:二人(4歳、6歳)争点:子の監護権、子の引き渡し経緯
相手方は、日常生活の些細なことにまで依頼者に指示、命令を行っており、依頼者は、相手方のそのような態度におびえていました。そのような中で、依頼者は、相手方以外の男性と交際を始めてしまいました。男性との交際の事実は、比較的短期間で相手方に発覚しました。相手方は、依頼者に対して、職場を退職することをはじめ、家庭にこもる状態を強制しようとしたため、話し合いは平行線でした。不貞についての話し合いを継続する中、双方が冷却期間をおくために、平日は別居し、週末を家族4人で過ごすことになりました。その際、子どもたちを、一週間ごとに監護すると取り決めました。最初の一週間は相手方が監護することになり、子どもたちを相手方の実家につれていきました。ところが、一週間後、相手方は、交互に子どもを監護する約束などしていないなどと言い始め、子どもたちを引き渡そうとしませんでした。その状態で一ヶ月ほど経過しました。
対応
依頼者は不貞をしており、出来るだけ穏便に済ませたいとも考えていました。他方で、このまま相手方の監護が継続すると、それが監護実績になり、相手方が監護権を得てしまう可能性がありました。そこで、一ヶ月経過の時点で、子どもたちの引き渡しを求めることにしました。
当職は、裁判所に対して「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判前の保全処分と、「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判を申し立てました。およそ10日後に審判前の保全処分が家庭裁判所で開かれました。裁判官は、相手方の弁護士に、子どもを引き渡すよう促しました。相手方代理人は難色を示していましたが、結局子どもを引き渡すことに応じました。
相手方が子どもを引き渡す予定の日、相手方は、急に別居を止めたと言い始めました。そして、子どもを引き渡すだけではなく、依頼者との同居を強引に再開しました。相手方は、依頼者を一方的に責め、幼い子どもがそれを止めに入るなど、家庭は荒れてしまいました。そこで、依頼者は、やむを得ず、子どもたちを連れて別居を開始することにしました。
依頼者は、相手方に知られないうちに住居を決め、相手方が仕事に出ている間に、子どもたちを連れて引っ越しました。
これに対して、相手方が、「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判前の保全処分と、「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判を申し立てて来ました。相手方が申し立てた審判前の保全処分は認められませんでしたが、「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判は、依頼者が申し立てた「子の引き渡し」と「監護者指定」を求める審判と同時に審理されることになりました。
相手方は、依頼者の不貞行為や日常生活態度などを、厳しく批判し、依頼者の人格を否定するような長文の文書を提出しました。これに対して、当職は、従来子どもたちを監護養育してきたのは依頼者であること、不貞などは子どもを監護することとは無関係であること、などを淡々と論じていきました。
その結果、依頼者を監護者とする決定が出され、無事、依頼者が監護者と定められました。
ポイント
相手方に監護実績を作らさないため、別居後約一ヶ月の時点で審判前の保全処分を申し立てました。タイミングとしては遅めだと思いますが、裁判所は依頼者の主張を尊重してくれて、子どもを引き渡すよう指導してくれました。
その後の審判手続では、相手方が感情的になって、依頼者の人格を批判するような訴訟活動を行うなか、当職は冷静に、子どもにとってどちらが監護者にふさわしいかと言うことを、的確に主張していきました。子どもを巡る紛争は、あくまでも子どもの利益を考えて活動すべきであり、依頼者の監護が子どもの利益になることをアピールしていくことが重要です。
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